ご挨拶
あけび主幹 大津留 温
「あけび」は短歌をこの上なく愛好する
人たちのあつまりである。
万葉集にはじまる短歌は日本の言葉
で表現され、日本人のこころを映す日
本独特の詩歌である。
大正10年に花田比露思によって創刊
された「あけび」は、明治の短歌改革
の旗手正岡子規の言う「物の本質を見る」
を基本として歌を学んできた。
物の本質を見きわめることは、時代を超えた作歌の基本姿勢と言っ
てよい。うらを返せばいたずらに飾りたてたり、心にもないことを美化
して言ったりすることは最も避けねばならぬことである。
また、花田比露思は「師弟同行」と言って、師と弟子との関係は、両
者が向き合って教えを学ぶのではなく、手をたずさえて、同じ目的に
向かって進む関係だと言っていた。
比露思を継承された林 光雄も同じ態度で皆に接しられたので、これ
が「あけび」の一つの伝統となっている。
日本のことばの美しさを守っていくのもわれわれの目ざすところの一
つである。 最近日本語の乱れが言われている。言葉は時代とともに
変化していくものではあるが、只今のような乱れがあってよいもので
はない。
「あけび」もご多分にもれず会員の高齢化が進んでいる。だが、年配
者の人生の深みをうたうのも中々味のあるものである。また、もっと
若いうちから歌をやっておけばよかったと思う人は多い。
新人の参加を心から歓迎するものである。
「大津留 温 略歴」
大正10年福岡県生まれ。昭和18年東大法学部卒。
兵役に服した後、建設省(事務次官)、住宅金融公庫(総裁)などをつとめる。
旧制佐賀高校の頃、高橋鴻助先生の手ほどきを受け短歌の道に入る。
昭和58年「あけび」に入会、林 光雄先生の指導を受ける。平成9年、林先生
ご逝去のあと「あけび」主幹。平成19年の新年歌会始に召人をつとめる。
歌集に「ふれあひ」「鶏声」「み名のごと」「あめつゆを」など。

