先人の歌(2009年11月号)
花田比露思の歌
すりぶみ
すりぶみの日にけに栄え言霊のさきはふ国ぞ大和島根は
『さんげ』明治四十二年
先生は明治四十一年、二十六歳の時に大阪朝日新聞社に人社、経済部記者兼短歌欄選者として活躍された。この歌は朝日新聞創刊三十周年の祝歌として詠まれたものである。「すりぶみ」を「言霊」と捉えられて、先生の意気込みが感じられる。(水谷和子)
林光雄の歌
筑波山
常陸野は夕靄ふかくとざせども筑波の山に残る日のいろ
『にぎたま』昭和三十四年
標高八百七十六米の筑波山の頂より霞ケ浦、土浦などを遠望した先生は、ひろびろと稲田の連なる常陸野に降り立った。振り返ると、たちこめる夕靄の上に、そそりたつ山。秋の日の暮れ行く山並みに「残る日のいろ」が味わい深い。 (篠田政夫)